本連載では、戦前最大の企業グループ三井財閥の歴史を追っています。前回は明治後期以降、三井グループが外部企業を傘下に収め、本格的に事業を多角化して「財閥」と化していく過程を追いました。最終回の今回は、大正から昭和にかけて財閥として最盛期を迎えた三井グループを襲ったテロ事件、そして戦後に待ち受けていたGHQによる解体と、その後の再結集に至るまでの過程を取り上げます。 明治も終わりに近づいた1907年、三井グループの実質的指導者であり、三井物産の創業者に当たる益田孝(ますだ・たかし、1848~1938年)は、英国でロスチャイルド家を訪問しました。この時面会したロスチャイルド家の当主は、益田に対し、三