同社の事業見直しは不採算事業に焦点を当てており、これまでに削減対象となったのは人工知能(AI)による音声アシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」のマーケティングやプライバシー部門。家庭用ロボットなど先進ハードウエアの研究開発部門「Amazon Lab126」も対象になった。22年には、対面式の書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」や、ECサイトで高評価の商品だけを集めた店舗「Amazon 4-star(アマゾン・4スター)」、ショッピングモール内の小規模店「Amazon Pop Up(アマゾン・ポップアップ)」を閉鎖した。同年には医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」も終了した。

 CNBCによると、アマゾンはディストリビューターとの関係を断ち切ることで、同社サイトで自社商品を販売したいメーカーとの関係を強化・管理できる。仕入れコストや品ぞろえについてもアマゾンの関与・影響力がより増すことになる。

 また、この動きはアマゾンのリストラ策とも関連している。同社では、利益率や売上げ、オペレーションなどの改善を担う商品カテゴリー管理部門の人員を減らしており、それに代えて自動化を進めている。利用可能な経営資源をメーカーに振り向けることで効率化を図るという。

ディストリビューターに長期的な影響

 アマゾンによると、ディストリビューターは今後も一定の条件の基、アマゾンに商品を販売できる。その条件とは、メーカーと独占販売契約を結んでいる場合や、ディストリビューター自らが当該商品のメーカーである場合。

 だが、多くは独占契約を結んでおらず、そのようなディストリビューターは少ないと専門家は指摘する。今回のアマゾンの方針転換は、ディストリビューターのビジネス全体に長期的な影響を及ぼす可能性があるという。

 アイルランドの電子商取引コンサルタント会社DF5イーコマースのエイダン・ダフィー氏によると、一部のディストリビューターは、再版事業などの収益を基に自社ブランド商品を開発・販売している。主要な収益源が断たれるディストリビューターは、自社商品開発の道も断たれることになるという。