ビジネス応用の事例に見る量子コンピュータの現状

「本格的な応用」を見据えた利用ノウハウの蓄積が進む

鍋島 勢理(CDO Club Japan)/2018.8.28

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 従来型コンピュータを圧倒的に上回る性能を発揮する可能性を持った「量子コンピュータ」。実用化、高性能化を目指す研究開発進む一方で、実際のビジネスにおける利用を見据えた動きがすでに出始めている。2018年7月30日に東京丸の内で開催されたイベント「量子コンピューティングビジネスフォーラム2018」(主催:ウィル・カンファレンス、後援:一般社団法人CDO Club Japan)では、ビジネス応用に向けた取り組み事例が語られた。

 なお、このフォーラムでの講演およびパネルディスカッションの概要は別記事としてまとめているので、以下を参照されたい。
ビジネス応用への一歩を踏み出す量子コンピュータ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53812

さまざまな業種の企業と共同研究

 早稲田大学 グリーン・コンピューティング・システム研究機構研究院准教授の田中宗氏は「産学共同研究による量子アニーリング応用探索」というテーマで、企業と連携したプロジェクトを紹介した。量子アニーリングは量子コンピュータ技術の一つで、カナダD-Wave Systems社がこの原理を基に世界初の商用マシンを開発した。

 早稲田大学は、量子アニーリングのアプリケーションの発掘に向けてさまざまな業種の企業との共同研究を実施している。リクルートコミュニケーションズとは広告配信の最適化に関する取り組みを、AI対話システムの開発を行うベンチャーNextremerとは人工知能・コミュニケーションロボットに関する取り組みを行っている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として日立製作所と行った研究では、集積回路設計、荷物の梱包、荷台への荷物配置などの“パッキング問題”の最適化について、量子アニーリング技術が効果的であるという成果が得られたという。