ものすごいスピードでIoT化が進む中、各自動車メーカーがしのぎを削りながら自動運転に関する技術開発をおこなっている。このような背景のもと、未来に向け、あらゆる人々が完全自動運転社会を待ち望んでいるのだろうと思いきや、先日意外な調査結果が発表された。

Gfkジャパンが国の自動車保有者1万2745人を対象に行った、コネクテッドカーに関するインターネット調査結果によると、人間が全く運転操作に関与しない完全自動運転が必要という人は、全体でなんと38%と半分を割っているのだ。

現在自動運転はドライバーの運転への関与度合いのもと、以下のように4段階に分けられている。

レベル1
【加速・操舵】:制動のいずれかの操作をシステムが行う状態
【実現するシステム】:安全運転支援システム

レベル2
【加速・操舵】:制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う状態
【実現するシステム】:準自動走行システム(自動走行システム)

レベル3
【加速・操舵】:制動を全てシステムが行い、システムが要請した時のみドライバーが対応する状態
【実現するシステム】:準自動走行システム(自動走行システム)

レベル4
【加速・操舵】:制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態
【実現するシステム】:完全自動走行システム(自動走行システム)

運転嫌いな人ほど完全自動運転を求めている

実用化されている自動ブレーキや車線維持などのレベル1、2については70%以上の人が必要と回答した。また、高速道路内などの限定された交通条件下での自動運転機能を有し、必要な時にはドライバーが操作するレベル3に関しては59%が必要とした。

調査結果を年代別に見た場合、60代以上はレベル1、2を必要とする人が80%以上、レベル3を必要とした人は67%に上っており、安全運転を支援する自動運転機能は高齢層の関心が高いことがわかってくる。

一方で、完全自動運転であるレベル4については世代間で大きな差は見られず、必要とした人はいずれの世代においても40%前後という結果となっている。ただし、運転の好きな人と嫌いな人に分けてみると、運転が嫌いな人ほど完全自動運転を必要と考える割合が高く、52%に達している。

今回の調査結果において、完全自動運転を求める人が少なかったのは、全ての操作をシステムに委ねることに対し、世代を問わず大きな不安を抱えているのが要因だ。実用化に向け、今後、システムの安全性を高め、消費者の理解を深めることが必要となるが、訴求にあたっては運転操作に消極的な層に目を向ける必要がありそうだ。