

東京港区、すき家・三田店。ゼンショー本社からもそう遠くないこの店舗では、全国展開予定の新メニューが先行して発売されるケースが少なくない。
今回も、5月23日から全国発売される「海鮮中華丼」がいち早く食べられると聞き、さっそく足を運んでみた。
都営地下鉄三田駅からの通り道には、主立ったファストフード店や他の牛丼店も立ち並び、なかなかの激戦区となっている。
その中で、大通りに面したこの店舗は、二階に都市型店舗としてはかなりゆったりしたテーブル席専用のフロアを用意する。近年、他の牛丼チェーンも好調なすき家を後追いするようにテーブル席の導入などを進めているが、牛丼店に回転率だけでないユーザー本位のサービスを定着させたのは、間違いなくすき家の功績といえるだろう。そこには、ファストフード店であっても食事はくつろぎの時間であってほしい、というすき家の姿勢が現われているのだ。
さっそく「海鮮中華丼」をオーダーする。
これまでにも中華丼系のメニューはあったわけだが、果たして今回のお味は?
エビ、ホタテ、イカ、湯気を上げる丼には、名前負けしない大ぶりの具がゴロゴロと並ぶ。一瞬、ここが牛丼店であることを忘れそうだ。そういえば、すき家発祥の地は、中華街で知られる横浜。実は牛丼の丼にも、よく見ると港町の絵と「YOKOHAMA」の文字が描かれているのだが、お気づきだろうか。おっと横道にそれた。さっそく食べてみよう。
ごはんと具をしっかりと包み、ひとつの食べ物に融合するとろみあん。魚介のおいしさを引き立てるよう、味付けは塩味のあっさりめだ。
プリプリのエビ、ほどよい弾力のイカ、かむほどに味の出るホタテ、それぞれ違う食感を楽しめるのも海鮮ならでは。それぞれが個性を発揮しながらも、とろみあんに包まれて、ひとつの丼として集約されていく。
主役の海鮮もそうだが、タケノコ、にんじんなどの野菜も魚介のうまみがたっぷり効いたとろみあんとの相性が抜群。決してボリュームが足りないわけではないのだが、「え? もう終わり」と丼を空にしてしまう。
ごはん大盛りはたった+30円なので、お腹の空いた人は前もって大盛りにしておいて損はない。

すき家の2大看板といえば、牛丼・カレーに違いないが、実はこだわり丼や定食類の充実も見過ごせないものがある。時間帯や気分次第で積極的に活用したいものだ。
例えば朝なら、この5月15日に発売され、新聞やテレビでも取り上げられて話題を呼んだ朝食セット「たまごかけごはん朝食」。
わずか200円と格安ながら、ごはんは大盛りも無料(ミニならさらに20円引きで180円)、たまごとたまごかけ専用しょうゆ、みそ汁にしらすおろしまで付いて、しっかりとした朝ごはんが食べられる。
ランチならこだわり丼。箸で楽々切れるほど柔らかく煮込んだ豚の角煮と、うまみをたっぷり吸い込んだ大根がおいしい「豚とろ丼」、
炭火で香ばしく焼き上げ、噛むごとにジュワリとジューシーな肉汁があふれる「炭火やきとり丼」は根強い人気の定番メニュー。
夜なら定食もおすすめ。昨年秋にデビューした「デミバーグ定食」は比較的新しいメニューながら、「デミたまバーグ定食」「デミチーズバーグ定食」と計3つのバリエーションで一躍定食ジャンルのヒット作に。朝定食同様、ごはん大盛り無料、ミニなら20円引きになるサービスもうれしい。
さらには、すき家の特徴ともいえる豊富なトッピングがある。「デミバーグ定食」のバリエーションでもおわかりのように、このトッピングは牛丼専用ではない。ハンバーグ類や焼き鳥丼などと組み合わせると、より自分好みの美味しさにアレンジできるだろう。
朝昼夜、どんなときでもすき家の看板を見かけたら、安心できるというもの。
今回の新メニュー「海鮮中華丼」などをきっかけに、牛丼だけでない充実したメニューに目を向けてみたい。

「海鮮中華丼」、そして豊富な定食やこだわり丼を満喫して気づく。
牛丼に自信があるからこそ、すき家は他のメニューにも全力を入れられるのだと。
シンプルで飽きのこない牛丼という原点、帰るべき場所があるからこそ、大胆なメニューを打ち出せる。牛丼店で海の幸たっぷりのメニューが?というサプライズも仕掛けられるのだ。
すき家と言えば、トッピング牛丼。見た目も楽しい、工夫とサプライズにあふれたこれら牛丼メニューの数々は、それだけでも毎日食べて飽きないだけの豊富なバリエーションを誇る。
それは、牛丼、ひいてはごはんをもっと美味しく、もっと楽しく食べられるようにというこだわりの現われだ。
大胆な価格を打ち出した朝定食、こだわり丼や定食、カレー、そして牛丼。
最高の主食と考える米=ごはんを中心に、例え一日三食すき家でも食べ飽きないメニューを並べる。
「すき家に行けば、何かおいしいごはんと出会える」。これもまた、すき家が守る《変わらないもの》なのだ。