日本企業の海外進出が活発化する中、最近になり大きな課題となっているのが贈収賄リスクだ。現地での事業を円滑に進めるため、賄賂を求められるケースも多いが、世界的に贈収賄は厳罰化の方向にある。欧米企業に比べて贈収賄対策に遅れをとっている日本企業は今、何をすべきなのか。現在の状況と対策について、この問題に詳しいベーカー&マッケンジー法律事務所のパートナー・西垣建剛弁護士に、企業むけのガバナンス・リスク・コンプライアンス ソリューションを提供しているトムソン・ロイター・マーケッツの代表取締役社長・富田秀夫氏が話を聞いた。

贈収賄リスクに対して脆弱な日本企業 社内研修制度など対策の早期導入が必要

富田

企業を取り巻く贈収賄について、法規制の現状はどのようになっていますか?

西垣

主に3つの規制が挙げられます。第一に米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)。1976年のロッキード事件を契機に1977年に制定されました。近年の摘発件数は年間数十件となっています。罰金については贈収賄により進めたプロジェクトの利益または損失の2倍までとなっており、例えば100億円のプロジェクトで10億円の利益が出た場合は、罰金上限が20億円となります。罰金を考えると、企業にとって相当な痛手となるでしょう。

第二に英国の賄賂防止法(Bribery Act)。2011年に施行された後、ほとんど摘発はなかったものの、最近になり2社について調査が開始されました。第三に日本の不正競争防止法。1998年に18条が改正され、海外での贈収賄について規制がされるようになりました。日本ではこれまで4件の摘発事例があります。

不正競争防止法の摘発事例
富田

OECDより日本は贈収賄について取り締まりが低調であるとの勧告を受けました。今後、日本ではどんな風に規制がされていくのでしょうか。

西垣

OECD勧告を受けて日本政府は主に2つの取り組みを行っています。1つは東京、名古屋、大阪の検察庁に贈収賄防止のためのタクスフォースを設置予定であること。もう1つは国税局の調査で、贈収賄が発覚する糸口となる使途不明金のチェックを強化することです。今後、日本の不正競争防止法は、世界的な流れに合わせて、これまで以上に厳格に運用されていくものと予想されます。

贈収賄リスクに対して脆弱な日本企業 社内研修制度など対策の早期導入が必要