けれども、取材を続ける中で、FSBには暗黙のルールが存在していることに気づきました。それは、どこまでも裏切り者を追い続けて命を奪うという組織をまとめるための鉄則です。このルールのために、リトビネンコ氏は殺されたのではないかと思っています。 KGB、FSBはそれぞれソ連、ロシアの諜報機関・秘密警察に当たりますが、リトビネンコ氏が携わった仕事はそこまで泥臭いものではなかったようです。 ただ、1994年に始まったチェチェン紛争において、現地で戦闘に参加したことが彼の気持ちを大きく変えました。 現地には、ロシア軍に殺害されたと思われるチェチェン人の遺体がたくさん転がっていました。その中には子どもの遺体