公安がいつも僕の動向をチェックしていたから、まともな勤め先なんて見つかるわけがない。本当は出版社に入りたかったのだけれど、すでに公安から「彼を雇っちゃダメ」と連絡が入っていた。公安の力はすごいもんですよ。 妻も子もいたから、どうやって食っていこうか悩んだ末、40枚から50枚ほどのレコードを持っていたので、これを使ってジャズ喫茶をやろうと考えました。 その程度のレコードの枚数で「ジャズ喫茶」を名乗るのはおこがましいと思いつつ、店を出したらお客が入ったんです。お客からは「このレコードの枚数じゃ、オレが持っているより少ないよ」なんてからかわれてね。「次はお客さんの好きなチック・コリアのレコードを用意
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