ヘブライ聖書には様々な物語が登場する。そこにほんの一部だけ書かれた「神の意図」について、「ヘブライ聖書のこの一節に書かれている内容は、一体何を意味しているのか?」とユダヤ教徒が侃々諤々と交わした膨大な議論をまとめたものが「タルムード」だ。 あくまでも議論集であって、タルムードにも「正解」はない。なぜならば、ユダヤ教においては正解にたどり着くことを目的としていないからだ。 正解よりも、人が思いつかないような場面、現実には起こり得ないことまでも、次々と議論を想定する能力を養うことを重要視しており、この能力こそが、現代のユダヤ人の成功と密接な関係がある。 以下、ノアの方舟の物語を通して考えてみよう。