本書を手にしてページをめくるうちに深く引き込まれ、時の過ぎゆくのを忘れた。いままで事実だと信じていた多くの歴史的場面がことごとく塗り替えられていったのである。目からうろこの大変な時間が続いた。 本書は1520年の【水原弥々松×長尾為景】から1600年の【本多忠勝×石田三成】まで、時代順に20稿のトピックに分かれている。著者はそれぞれの項目に関して多くの文献を緻密に検証しながら通説に対する疑問を呈し続けている。さらに楽しい三項目の番外編が加えられている。そんな構成を持つ本書の魅力について述べていきたい。 まず惹かれるのが、一次史料に記された内容に対する著者の慎重な分析視点である。 ご存じの方には
一次史料に書かれた内容は常に真実か?「目からウロコ」な戦国の考察本
乃至政彦著『戦国大変 決断を迫られた武将たち』発売記念:鳴神響一氏書評
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