クラシック音楽の世界で、底流のように続いている大切なテーマの一つが「祈り」である。 ストレスフルな、争いごとのますます絶えないこの世の中で、騒がしい音楽よりも落ち着く静かな音楽を求める人は増えている。なかでも「祈り」の音楽は特別だ。 キリスト教の信者でなくとも、バッハやモーツァルトのミサ曲を聴けば、誰しもがその澄み切った響きに心洗われる思いがするものだ。特定の宗教に属していなくとも、寺社仏閣や教会に行けば、誰でも敬虔な気持ちになって、思わず襟を正したり、手を合わせたりするのと似ているかもしれない。 祈りとは、どんな現実主義者にとっても決して無縁ではありえない、古代からの人間共通の営みである。そ
クラシックの核心的要素「祈り」を伝える「祈る人」と「オテロ」の今日性
林田直樹の劇場から覗く世界(11)音楽の中の「祈り」について
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