党総書記と中央軍事委員会主席に就任後、習氏が最優先で取り組んだのが人民解放軍の掌握だ。中国において共産党と人民解放軍は密接不可分の関係にある。毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と語った。新中国は人民解放軍が生み出したものであり、軍に支持されない指導者は党の支持も得られない。 軍を掌握できるかどうかは、指導者の命運を左右する。 日本ではそれほど注目されていないが、習氏と軍の関係性を決定づけた重要な転換点がある。2014年10月末、福建省上杭県古田鎮という小さな村で開かれた「全軍政治工作会議」だ。習氏はこの山間(やまあい)にある鄙(ひな)びた村をわざわざ大規模な全軍会議の場所として選び、軍の上級幹