「ランダム不活性化」と呼ばれるこの現象は、性染色体にある遺伝子の働きを調節する代表的な例として生物学や遺伝学のテキストにも掲載されています。「どの染色体に遺伝子が存在するのか」が明らかにされたわけですが、「どの遺伝子が、どのように毛の色を作っているのか」まではわからないままでした。私も『エピジェネティクス入門―三毛猫の模様はどう決まるのか―』(岩波書店、2005年)など一般向け書籍でランダム不活性化の説明を書きましたが、遺伝子の実態はわかっていないんだけどなあ……と思っていました。それが今日に至るまで、不明なままなのです。 人間のゲノムDNAは2003年に解読が終了し、他の生物でも研究・解読が進
三毛猫はほぼ全てがメス、ではあの模様は遺伝的にどうやって決まっているのか
未解明だった茶と黒の毛色を作り出す仕組みに遺伝学の権威が挑む
2023.4.28(金)
坂元 希美
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