2019年に起きた、パリにあるノートルダム大聖堂での火災。セーヌ川の橋から様子を見守る大勢の人々。建物の象徴的存在である尖塔が崩落する瞬間の彼らのショッキングな表情が今でも鮮明に思い出される。『ノートルダム 炎の大聖堂』はあの日、火事が起きなかったかもしれなかったノートルダム大聖堂の一日から始まる。 当時、老朽化が進む大聖堂の改修工事が行われていた。作業する人々の中には禁煙にもかかわらず、平気で喫煙する人もいた。木造の建物の中、作業では火花が飛び散る。おまけに配電盤は老朽化している。いつ火災が起きてもおかしくない状況だったことが、今だからこそ、わかる。 膨大な資料調査とインタビューを元に描かれ