坂本龍一氏が死去した。一般の日本人にとって氏は、YMO時代にテクノポップやニュー・ウェイブでブレイクし、その後、多彩で幅広い音楽ジャンルへと活動の場を広げ、アカデミー賞を受賞した世界的音楽家という認識だろう。 一方、筆者のような出版関係者にとっては、伝説の編集者と呼ばれた坂本一亀(かずき)氏の息子というイメージも強い。 尖った印象の細面や額に垂れる長髪が一人息子龍一氏によく似た一亀氏は、音楽とは関わりのない文学の世界の人だった。 しかし、仕事に妥協を許さず、徹底して独自の高みを目指していく龍一氏の生き方や、子ども時代から独りで何時間もピアノを弾いても平気だったという集中力、孤独を好む性格などは
「世界のサカモト」坂本龍一を育てた「文芸のサカモト」坂本一亀の生涯
分野は異なれど孤独を厭わず独自の高みを目指す姿には相通じるものが
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