原子力災害は、風水害や地震災害より発生頻度は小さいものの、起きればその被害は甚大だ。東日本大震災の被害額(原発事故によるものを除く)は16.9兆円*1と推計されているが、東京電力が福島第一原発で起こした事故の除染や賠償、廃炉などにかかる費用は21.5兆円*2と試算されており、今後さらに膨らむのは確実と見られている。 原発事故で亡くなった人も多かった。「福島第一原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない」(高市早苗・自民党政調会長〔当時〕が2013年6月に講演し、後に撤回し謝罪)という発言もあったが、それは事実とは異なる。 東日本大震災からちょうど12年となる2023年の3月