列車は夜明け前の暗闇を突き抜けるように走っていた。ディーゼル列車の轟音が、不気味さをさらに演出している。まるで今目指している永遠の眠りの地に自分が吸い込まれていくような気がした。 そのうち、点々と散らばった光に気が付いた。どうやらこのあたりには集落があるらしい。空はうっすらと白みがかっていた。 列車は始発駅からわずか30分ほどで終点に到着した。人影もまばらで、タクシーもバスもない。とりあえず近くのカフェで朝食をとることにした。 目的地に行くには、タクシーを呼ばなければならない。フランス語の会話が苦手なのでウエイトレスに手伝ってもらいながらタクシー会社に電話した。だがその日はどの車も予約でいっぱ