隣国ウクライナに軍事侵攻したウラジーミル・プーチン露大統領が、戦場での劣勢挽回などを狙って核兵器使用の威嚇を繰り返したことで、国際社会の緊張は、米政権が米露核衝突の「アルマゲドン(終末戦争)の危機」に言及するほど高まっている。 だが、一方でクレムリンの城壁内からは、核使用への執念と同時に、少なくとも現時点では、逡巡と自信喪失の気配も漏れ出ている。核のボタンに指をかけた独裁者に最後の決断をためらわせる事情とは何なのだろうか。「キューバ核ミサイル危機以来、我々がこれほどアルマゲドンに近づいたことはない」――ジョー・バイデン米大統領は10月6日、民主党支援者の会合で演説し、キューバへのソ連核ミサイル