莫大な費用、交渉に要するエネルギー……フィギュアスケートの演技映像のアーカイブの困難さは、町田樹が自身の作品の映像集を出す試みの中に、まざまざと示されている。それがために、演技映像のアーカイブの構築はなされずに来た。「映像も音楽も、権利関係をクリアランスするためのハードルが高すぎると思っています」 結果として、動画投稿サイトが実質的にアーカイブとして、利用されている。フィギュアスケートファンにとどまらず、スケートの世界にいる人々も参考としている。「私も研究者としていろいろな映像を観られて便利です」 町田もそう語る。「でも、それらの映像は権利的に『グレー』なものなのですね。国際スケート連盟がオフ