インフレの加速は世界的な現象だが、欧州もまた、近年では稀に見るハイペースで物価上昇が続いている。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が7月末に公表したユーロ圏の最新7月の消費者物価は、総合指数ベースで前年比8.9%上昇と、6月(同8.6%)から伸び幅が拡大し、1999年1月の統計開始以来の過去最高を更新した。 消費者物価の前年比に対する各構成項目の寄与度の推移(図1)を確認すると、物価の最大の押し上げ役は引き続きエネルギーであることが分かる。コロナショック以降の急速な景気回復や産油国の協調減産に加えて、ロシアとの関係悪化に伴う化石燃料の供給不足が、ユーロ圏のインフレの加速の主な原因となって