イタリアで政権崩壊のリスクが高まっている。欧州中央銀行(ECB)の前総裁であるマリオ・ドラギ首相が率いる現政権はパンデミックの最中の2021年2月、事実上の挙国一致内閣として発足した。それから1年半が経過したが、安定は長く続かず、イタリアで「慢性病」とも言える政治不安が再燃することになった。 事の発端は、7月14日の上院で物価高騰対策などを盛り込んだ暫定措置令の採決と合わせて行われた内閣信任案を巡って、連立の一角を占める左派政党、5つ星運動が議会上院での投票を拒否したことにあった。暫定措置令自体は賛成多数で可決・成立し、また内閣も信任されたが、ドラギ首相はマッタレッラ大統領に辞意を表明した。