東北地方を襲った未曾有の大災害から10年を迎えた。インフラを中心に被災地の復興は進んだものの、住民の高齢化や人口減少は続いており、街やコミュニティの再生という面では震災前にほど遠い。地元住民に甚大な被害を与えた福島第一原発の後処理も、いまだ出口が見えない状況だ。あの日のことを振り返れば、辛い思い出ばかりが胸に去来するが、あの生きるか死ぬかの瞬間には、人間の強さと美しさを感じさせる奇跡のような出来事もあった。