デューラーの異色さは、ドイツ工芸を芸術にまで高めたこと、絵画も版画も木彫もとオールマイティーだったこと、そして、美しい人体を描くために、学者のように研究に没頭したことだけではない。一番奇異なのは、その学者肌のデューラーがビジネスの才覚を発揮し、当時の発想を超えたマーケティングで自分の作品をヨーロッパ中に売り込んだことだ。