ロボットアームの導入時には、ティーチングを行う代わりに、作業環境は詳しくロボットに教える必要がある。具体的には、ロボットの稼働可能範囲や周辺にある障害物の位置、コンベアを流れてくるコンテナとロボットとの位置関係などで、これをMUJINコントローラに設定する。そのうえで、左から右にモノを移すといったように搬送先を指定すれば、その後はコンテナに入ったモノをロボットアームが自らの判断でハンドリングできるようになる。
写真2 MUJINコントローラに設定した作業環境のイメージ
これまで物流センターの完全無人化を阻んできた大きな理由の一つは、取り扱うモノの形状がバラバラで、日用品や食品の全商品を対象にしたティーチングが事実上、不可能だったということだ。MUJINはこのハードルをクリアした。多品種のピッキングができるようにする専用の登録システムを用意した。扱う商品を登録システムに投入すると、形状やパッケージ画像を自動で読み取る。そのデータをMUJINコントローラに登録するとともに、商品をしっかりと持てる場所を指定すれば、箱形状の商品だけでなく、インスタントラーメンから練り歯磨きのチューブ、スプレー式の洗剤までロボットアームでピッキングできるようになる。
MUJINコントローラの適用領域は、多品種商品のピッキングの無人化にとどまらない。人手に頼っているトラックからの荷下ろしや荷積みも、ロボットアームで代替できる可能性がある。