藤原兼家とその息子たちに出家を促され、退位した花山天皇。 和歌など芸術面では、奇抜な発想で人々の意表を突くなど、文化人として高い精神性をみせる一方で、『源氏物語』の光源氏の一枚上を行くかのごとく複数の近親女性との乱交ぶりを伝える逸話が伝えられるなど、世道と狂気の狭間を行き来した花山院の生涯とはどのようなものだったのか。 花山院は、叔父・円融天皇の譲位に伴い17歳で天皇に即位。  後ろ盾であった外伯父・藤原伊尹はすでに亡くなっており、伊尹の弟・藤原兼家が権勢を振るっていた時代。 花山天皇は即位してわずか2年、19歳で退位、出家を余儀なくされる。平安時代に成立した歴史物語『大鏡』には、「あさ