いきなり花山天皇(かざんてんのう)が泣き叫びながら暴れるシーンから始まったので、思わずたじろいでしまった。 本郷奏多演じる花山天皇が、これだけ嘆き苦しむのは、井上咲楽演じる藤原忯子(よしこ)が急死したからである。寛和元(985)年7月18日、忯子は我が子を身ごもったまま、17歳で死去することになった。 もともと、花山天皇が忯子に一目ぼれして「入内してほしい」と懇願したとも言われるだけあって、最愛の女御だった。ドラマでは、入内の経緯について金田哲演じる藤原斉信(ただのぶ)にこんなセリフで語らせている。「妹の忯子が死んだのは、あんな帝のところに入内したからだ。父も俺も不承知だったのに、義懐(これち