日本全国の城に建っている天守のうち、昔ながらの現存天守は12棟だけ。それ以外は、何らかの形で「再建」された天守で、たいがいはコンクリート製だ。これら「再建」組のうち、史実に基づかないものは模擬天守と呼ばれている。 今回紹介する唐津城の場合は、もともと天守がなかったところに、戦後になってコンクリート製で建てたものなので、模擬天守である。だから、この天守に歴史的価値はない。ないのだけれど唐津城の天守は、模擬天守の中では全国でもピカイチに美しい姿をしていて、一見の価値がある。 唐津城を築いたのは、寺沢広高という豊臣秀吉子飼いの武将だ。広高は、朝鮮出兵に際しては兵站の差配を担って唐津一帯を与えられたが