古今東西、宗教といえば祈りが伴う。祈りとは祈る人の願いを叶えるため、人智を超えた存在にお願いをする行為。その根幹にあるのは、人が抱く夢であり、希望である。 密教では祈る行為を加持と称する。『広辞苑』によれば、加持とは仏陀が迷いの世界の衆生を加護保持すること。密教などで、病気平癒、災難を除くため、仏陀の加護保持を祈祷する秘法、とある。 神仏の不可思議な力によって衆生を守ることを指し「神力」「威神」と漢訳される。 加持の「加」は増加添加、「持」は受持任持の意味がある。 この相反する2つの立場の双方が補い合うことで一つに融合し、加持祈祷が成立する。 それは、神秘の力である不可思議な威力を放つ側と、そ