いまどき、「男は」とか「女は」などといいだすと、なにかと問題の種になりかねない。「男性」「女性」といわなければならない。ましてや「男らしさ」だの「男の中の男」などといおうものなら、とても無傷ではすみそうにない。だれが決めたわけでもないのに、なんとなく禁句めいているのだ。いま「男」や「女」という言葉が使われるのは、犯罪者を呼ぶときぐらいだけである。 しかし口にしないだけで、男や女の意味がなくなったわけでは、もちろんない。現に男女は存在しているし、わたしは常々頻繁に、「ばかじゃないのか、この男は」とか「なんなんだ、この女は」などと、内心で毒づいている。 考えてみれば、「男らしさ(女らしさ)」という