文=酒井政人

2021年1月2日、第97回箱根駅伝、スタート前 写真=日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ

スポーツメーカーの〝祭典〟

 毎年、大きな話題となる箱根駅伝はスポーツメーカーの〝祭典〟でもある。ランナーたちが身につけているギアが注目を浴びることが少なくないからだ。

 箱根駅伝に出場する大学の多くは、各メーカーから「ウエアサプライヤー」を受けている。それでは今大会に出場する全20校が着用するユニフォームのブランドを見ていこう。

 ナイキは2年連続の「2冠」に挑む駒大、前回3位の東洋大、19年優勝の東海大、今回10年ぶりのシード権を目指す名門・中大の4校。アディダスは出雲と全日本で2位に入った青学大と予選会をトップで通過した明大の2校になる。

 箱根駅伝を協賛しているミズノは東京国際大、創価大、法大、日体大、神奈川大、国士館大の6校。アシックスは早大、帝京大、山梨学大、中央学大、専大の5校だ。

 順大は今季からニューバランスを着用しており、國學院大はフットサルとファッション生活を融合したアパレルブランドのスボルメ。駿河台大はアイウエアブランドとして有名なオークリーとともに箱根駅伝の〝初出場〟を飾る予定だ。

 

ランパンよりタイツが増えている理由

 また前回大会から世界陸連広告規程の改定に伴い、ユニフォームに学校名とブランドロゴに加え、同一のスポンサー名(40平方㎝以内、高さ5㎝以内)を表示できるようになった。前回は優勝した駒大が学習塾の「日能研」、2位の創価大は大学卒業生組織の「創友会」、3位の東洋大は伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」のロゴをつけていた。

 なお近年のトレンドでいうと、上はランシャツ、下はランパンではなく、タイツを着用する選手が増えている。マラソン世界記録保持者で東京五輪の金メダルを獲得したエリウド・キプチョゲ(ケニア)が好んでいるスタイルだ。

 前回、予選会で落選するという悪夢を経験した中央学大は、今季からユニフォームをリニューアルした。上はショッキングイエロー、下は黒というカラーリングだ。「心機一転」という意味だけでなく、タイツを履きたいという選手の要望に応える目的もあった。

2021年11月7日、全日本大学駅伝で2区を走る栗原啓吾(中央学大)写真=SportsPressJP/アフロ

 従来のフラッシュイエローとは異なり、黒なら市販されているタイツの種類が多い。筋肉の無駄な動きを軽減して疲れにくい状態にする着圧タイプ、テーピング機能のあるもの、防寒用など目的に応じたタイツを着用することができるようになった。