2019年、日本のオープンイノベーションの行方

数多くの企業マッチングを実現するプロジェクトニッポンに聞いた

松ヶ枝 優佳/2019.1.22

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ILSを主催するプロジェクトニッポンの代表取締役、松谷卓也氏

 オープンイノベーションが注目を集める中、毎年東京で開かれているアジア最大級のオープンイノベーションの祭典、「Innovation Leaders Summit(以下、ILS)」。2018年10月22日から24日にかけて行われた第6回ILSでの来場者数は、昨年比約163%の1万1003名を記録した。

 今、企業がオープンイノベーションに乗り出す理由は何か。その動向から見える今後の展望は。ILSを主催するプロジェクトニッポンの代表取締役、松谷卓也氏(以下、松谷氏)に話を聞いた。
 

大企業の関心が集まるディープテック分野

 ILSではベンチャー企業による技術展示やピッチ、VCやベンチャー、大企業のキーパーソンによるセッション等も行われているが、大きな注目を集める目玉企画は「パワーマッチング」。大企業とベンチャーとで新事業を創出するためのマッチングプログラムだ。来場者数同様、こちらの参加者数も年々増加しており、今回は128社の大企業から942名、555社のベンチャーから1290名の合計2232名が参加。

 大企業とベンチャー双方が事前に専用サイトにニーズや技術・製品などを登録しておくことで、興味のある企業や自社に興味を持つ企業両方に効率的にアプローチできる仕組みだ。第6回ILSでのパワーマッチングでは、事前にマッチング専用サイトを通じて2697件の商談をアレンジ。それを基に当日会場でマッチング商談が行われ、最終的に1026件の協業案件が生まれている。

 また、ベンチャーに関しては完全招待制にすることで質を担保。国内外のVCなど、有力な支援機関の推薦を得られた企業のみが参加できる仕組みで、同プログラムの高いマッチング率に一役買っている。

「オープンイノベーションに対する関心が高まると共に、パワーマッチングに参加する大手企業の顔ぶれは年々変わってきています。第1回開催時は家電メーカーなどの、いわゆる最終製品を作っている会社が主な参加企業でした。次の年は化学メーカーや素材メーカー、部品メーカーが加わり、その次は食品メーカーなどが増加しましたね。そして2018年は電鉄や電力・ガスなどのインフラ系の会社が目立ちました。つまり、危機感を強く抱いている企業から順に、オープンイノベーションで自社の課題解決に取り組もうとしているんです」と松谷氏。

 また、ILSは公式サイトにてパワーマッチングから得たデータを収集・分析して作成した「オープンイノベーショントレンドレポート」を提供している。そのレポートによれば、昨年と比べてディープテック(高機能素材や産業用ロボット、画像解析、電池など)分野でのマッチング率数が増加しているが、その理由を松谷氏はこう分析する。

「これまで、大手企業側は自分たちがまだ持っていない、未知の技術をベンチャーに求めるのが通例でした。既存事業には直接関与しない、新規事業の開発を目的にオープンイノベーションに取り組もうというのが一般的だったんです。それが最近では、自分たち(大手企業)が既存事業で取り組んでいる分野をさらに深掘りするためにベンチャーの力を借りようとする大手企業が増えてきました。これはパワーマッチング全体に見られる大きな変化であり、ディープテック分野が拡大している要因でもあると思います」

参加企業数が増えると共に顔ぶれにも変化が見られるというパワーマッチング

 レポートでも触れられているが、AIやビッグデータ等のデータアナリティクス分野のマッチング数は依然としてトレンドでありマッチング数も多いが、勢いは鈍化してきている。一方のディープテック、特に「高機能素材」のマッチング数は2017年に比べ85件も増加した。大企業がベンチャーに求める役割は着実に変化してきている。