マツダ「MX-30 Rotary-EV」で陶芸で有名な栃木県益子市に立ち寄った(写真:筆者撮影)
  • 「マツダらしさ」といえば「ロータリーエンジン」を挙げるファンも多いだろう。このロータリーを電動車として復活させたのが「MX-30 Rotary-EV」だ。
  • これまでも何度か本連載でも取り上げてきたが、改めて1200kmを走破してその実用性を検証した。
  • その走り味を一言で表現すると「ほんわか」といったところか。世界でも極めて稀な電動システムが実現したマツダらしい走りとは。(JBpress)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 マツダのロータリーエンジンを搭載した電気自動車(EV)で、少し遠出をしてみようと考え「MX-30 Rotary-EV」を同社広報部から借り出した。

 量産型ロータリーEVについて、筆者はこれまで2つの機会に深掘りしてきた。

 最初は、昨年夏にマツダ広島本社で実施されたMX-30 Rotary-EV発売前の技術説明会。この際は、新型ロータリーエンジン「8C」の製造現場も詳しく見た。

 ここでは実車を試乗することはできなかった。

仙台市内のワインディング路の脇道に停車した様子(写真:筆者撮影)

 2回目は、昨年11月末にマツダR&Dセンター横浜を基点に実施された同車の公道試乗会だ。この際、横浜周辺の一般道や首都高速を走行したが、走行時間が限定的であったため、あくまでも技術的な要件を確認することしかできなかった。

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 そして今回、スポーツランドSUGO(宮城県柴田郡)で開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE・第1戦 SUGOスーパー耐久4時間レース(2024年4月20、21日)の取材を兼ねて、マツダR&Dセンター横浜を基点に宮城県、栃木県、茨城県の各所をMX-30 Rotary-EVと共に巡る5日間の旅に出た。

  総走行距離は約1200kmである。

 まずは、車両のスペックから紹介する。

 ボディ寸法は、全長4395mm×全幅1795mm×全高1595mm、ホイールベースは2655mm。

 移動の途中、コンビニの駐車場や、高速道路のサービスエリアなどに同車を停めて、その外観を見ると「コンパクトなSUV」という印象だ。

 ただし、単純に「小さめ」というのではなく、「なんとなく、他のSUVと違う」との印象を持った。

 デザインコンセプトである「ヒューマンモダン」を実現させるため、車両最後部の「Dピラー」(ボディとやねをつなぐ支柱の一つ)を前方に少し傾けた。それでも後席の乗降性を確保するために、フリースタイルドアを採用していることが、Rotary-EVのみならずMX-30全モデルの独自性である。