ロシアのミサイル攻撃を受けたウクライナのドニプロで消火活動を行う隊員たち(4月19日、写真:ロイター/アフロ)

 ウクライナ戦争では、ロシアは1日に50~100発以上の攻撃を月に1~数回継続して実施している。  

 ロシアは、一度に大量のミサイルと無人機の攻撃を長期にわたって行ってきている。

 これは、「どのような攻撃を行えば、敵国に大きなダメージを与えられるのか」が明確に分かっての飽和攻撃である。

 攻撃を受けている国からみれば、それは「痛いところを突き刺す」やり方と言ってよい。

 一方、イランは4月14日、1日だけでイスラエルに向けて300発以上のミサイルや自爆型無人機(以後、無人機)による攻撃を行った。

 これに対し、イスラエルは4月19日、ミサイルあるいは無人機攻撃を行ったという情報がある。

 イランはロシアを支援しつつ、ロシアのやり方とその成果を見てきた。そして、それを学習し実行したのだ。

 このことから、ロシアなどの独裁国家から見て敵対すると見なされる国々は、ミサイル防衛の在り方を改めて考え直す必要に迫られている。

 そこで、このようなミサイルや無人機による飽和攻撃が、どのようなものかを改めて分析し、この特徴をつかみ、同時に北朝鮮のミサイルの開発の現状を踏まえてミサイルの防衛の在り方を考察する。

1.イランとフーシ派による飽和攻撃の特異性

(1)イランのミサイル攻撃の特異性

 シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館に隣接するイラン総領事館がイスラエルによる攻撃を受けて、コッズ部隊の主要人物2人を含む軍関係者7人が死亡した。

 イランはこれに対する報復として、2024年4月14日日曜日、170機の無人機、30発以上の巡航ミサイル、120発以上の弾道ミサイル、合計300発以上を発射した。

 このうち数発の弾道ミサイルがイスラエル領土に到達し、空軍基地に軽度の被害を与えた。

 イスラエルは、99%を迎撃したと述べた。300発以上の1%を撃ち漏らしたということは、数発がイスラエル国内に弾着したということだ。

 イスラエル南部にある基地では「インフラに軽度の被害が発生」した程度であった。

 イランが発射を発表したことで、奇襲攻撃ではなかったこと、イスラエルは日頃からミサイル防衛に力を注いでいたことから、イスラエルは十分な対応ができた。

 これらのミサイルや無人機は、イラン、イラク、シリア、イエメンの4方向から発射された。

 イエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエルを攻撃するために発射しようとした弾道ミサイルや無人機は、発射前、フーシ派の支配地域で未然に阻止された。

 米政府高官は、イランの攻撃が想定よりも大規模で「防衛は困難な作戦だった。成功は準備のたまものだった」と振り返った。

(2)イスラエルを支援する多国共同のミサイル防衛

 今回のイラン等からのミサイル攻撃に対しては、米・英・仏の協力がなければ、イスラエルは大きな混乱となり、大きな被害が出ていた可能性がある。

 米国、英国、フランスはイスラエルを支援し、飛翔体の大部分は国境外で迎撃された。

 米国防長官は、米国はイラク、シリア、イエメンからイスラエルに向けて発射された「数十」のミサイルや無人機も迎撃したと述べた。

 また、戦闘機によって迎撃された巡航ミサイル10発を含め、迎撃の大部分はイスラエル国境の外で行われたと述べた。

 イスラエル中部では、イランから発射されたミサイルを迎撃するために、イスラエルのアイアンドーム防空ミサイルが発射された。