ロシア産原油をバナナで決済したインドの製油業者

 二次制裁を回避すべく、ロシアとの取引を手控える第三国は、徐々にだが着実に増えているようだ。

 中国と同様にロシアから大量の原油を輸入しているインドでも、米国による二次制裁を回避したい銀行が、ロシアとの取引の米ドル決済に応じなくなっている。そのためインドの製油業者は、ロシアからの原油の輸入に難儀するようになっている。

 インドの輸入業者の中には、ロシアに支払う輸入代金の一部を現物で、具体的には果物のバナナで決済するケースもあったという。双務(二国間)貿易の場合、このように等価とみなされる現物同士で決済を行うことも可能だが、これでは交換レートが安定しないし、他のモノとの交換も制約されるため、取引の量は自ずと制限される。

 こうした状況では、ロシアは原油高の恩恵を得ることができない。このところ原油価格は中東情勢の緊迫化もあって上昇しているが、本来ならロシア財政にとって追い風である。しかし決済の停滞によってロシアの資源会社が輸出による収入を十分に得ることができなければ、税収も増えず、ロシア財政にとっては大きな痛手となる。

 ロシアの経済指標は年明け以降、持ち直しの動きを強めており、軍需にけん引されるかたちながらも、景気は回復力を強めているという見方が一般的だった。しかし生命線ともいえる中国やインドとの貿易決済が、米国による制裁によって目詰まってきたことに鑑みると、持ち直しの動きは長くは続かず、ロシア経済は再び停滞すると予想される。