廃線危機のローカル線が乗客12倍の超満員に

図‐2 近江鉄道全線無料デイの紹介資料3)図-2 近江鉄道全線無料デイの紹介資料2)
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 全線無料デイは近江鉄道株式会社が費用と責任を持って実施するイベントである。その枠組みは図-2に示す通りだ。

 沿線諸団体が実施する多様なイベントは図-2の左にある「連携イベント」である。これは近江鉄道株式会社や沿線自治体などが呼びかけ、15団体が沿線14か所で実施することになった。

 近江鉄道株式会社が開く鉄道イベントは、図-2の右にある、彦根駅での「近江鉄道グループありがとうフェスタ」である。これらの2つの企画を、図-2の中央にある近江鉄道が全線無料で結び付けたものとなっている。

 無料デイ当日は、早朝から家族連れなど多くの人々が詰めかけた。

 好天にも恵まれ、多くの人々が近江鉄道線に乗り、様々な会場を訪問する姿が目立った。当初の想定利用者数は約1万人であったが、実際には、その3倍を上回る約3.8万人(推計)の利用があったとされている。

 2021年度の休日の定期外利用者数が約3100人/日なので、無料デイ当日は約12倍もの人たちが来てくれたことになる。

 私の実感では、もっと多くの利用者がいたと感じている。というのも、利用者が当初の想定をはるかに上回ったために、鉄道利用の実数の把握が容易ではなかったからだ。いくつかのイベント会場での参加者数から推計されたのが、約3.8万人という数である。

 無料デイには筆者も参加した。どの車両も、これまで近江鉄道線では体験することがなかった満員の状態が続いていた。普段は落ち着いた雰囲気のある駅も、電車を待つ人であふれていた。この日、近江鉄道では臨時電車を20本追加で運行することになった。

 また、駅周辺の店舗や商店街も、多くの人々でにぎわっていた。家族連れが目についたが、様々な年代の友人同士、それに大きなカメラを持った人たちも多く参加されていた。

写真-2 近江鉄道線全線無料デイ当日の車内の様子;満員でつり革につかまることができない状態人(撮影;土井)写真-2 近江鉄道線全線無料デイ当日の車内の様子、満員でつり革につかまることができない状態(撮影:土井勉)
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写真-3 近江鉄道線全線無料デイ当日の八日市駅の様子、見たことがない程の人で一杯(撮影;土井)写真-3 近江鉄道線全線無料デイ当日の八日市駅の様子、見たことがない程の人で一杯(撮影:土井勉)
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写真-4 近江鉄道線全線無料デイ当日の八日市駅前の商店街の様子(撮影;土井)写真-4 近江鉄道線全線無料デイ当日の八日市駅前の商店街の様子(撮影:土井勉)
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