イスラム革命防衛隊の在り方は、中国における中国人民解放軍に近いと言えるでしょう。中国人民解放軍は、国の防衛も行っていますが、基本的に中国共産党の軍です。イランの場合、その歴史的経緯から、国の防衛を行う国軍とイラン革命の防衛を行うイスラム革命防衛隊が併存しているのです。

 さて、このイスラム革命防衛隊が行う任務とする「革命の“防衛”」ですが、ゴドス軍の活動領域が基本的にイラン国外であることからも分かる通り、決して“防衛的”ではありません。

 前述の通り、イラン国外のシーア派組織だけでなく、ハマスなどのスンナ派イスラム原理主義組織にも影響力を及ぼすことで、イラン革命直後から警戒されている革命の輸出を今でも目指しています。

 昨年10月のハマスによる大規模テロ攻撃は、イランおよびイスラム革命防衛隊の意志とは言えませんが、事前にテロの実施は通告されていたと言われ、イスラム革命防衛隊は、ハマス以上に関係の強いヒズボラやフーシ派に対し、ハマスを支援するように働きかけていました。そのため、両組織は現在でもロケット砲やドローンなどにより、イスラエルを攻撃しています。

 そして、このイスラム革命防衛隊が今でも革命の輸出を目指していること、つまりイスラム原理主義を広めようとしていることこそが、イスラエルの周辺国が、ミサイルなどの迎撃を支援した理由になっています。

 レバノンでは、ヒズボラがイスラム革命防衛隊の支援により国家内国家と呼べるほど強力な地位を確保しています。フーシ派に至っては、イエメン南部を完全に支配している状態です。