2.予想されるイラン核施設への航空攻撃態様
イスラエルが保有する戦闘機およびその航続距離は、F-16C:約4200キロ、F-15C:約3971キロ、F-35A:約2200キロである。
また、イスラエルは「KC-707」×7機、「KC-130H」×4機の空中給油機を保有している。
下図2はイスラエルとイランのナタンズ核施設の地理である。
図2:イスラエルとナタンズの地理
(1)行動方針
イスラエルの行動方針として、次の2つが考えられる。
1つ目は、少数のステルス機による隠密奇襲攻撃により、核施設を爆撃・破壊し、4月14日のイランの航空攻撃に対する報復攻撃とすると共にイランの核保有を数年遅らせる。
2つ目は、戦爆連合による強力な航空攻撃により核製造施設(地下施設を含む)を完全に破壊し、イランの核保有意思を破砕する。
1つ目の作戦方針は、米軍が黙認すればイスラエル単独でも実行可能であり、成功の確率も高い。
2つ目の作戦方針は、米軍の協力がなければ実行不可能である。
また、イランのイスラエルへの軍事報復が予想される。それは、中東全体を巻き込んだ地域紛争に発展する恐れがある。
イスラエルとしては、イランの核製造施設(地下施設を含む)を完全に破壊して後顧の憂いを排除したいところだが、今回は米国の意向等を考慮して、イランの少数の主要核施設をステルス機による隠密奇襲攻撃すると筆者はみている。