道長は父や兄弟の死をどう見守っていくのか
今回の放送では、伊周が妹の藤原定子に恋文を見つけられて、両親を前にいじられるという場面があった。平安時代では、家庭内での「恋文話」もよくあることだったのだろうか。しつこくからかってくる妹に、伊周はこうくぎを刺している。
「入内するからというて、浮かれるな」
永祚2(990)年正月5日の元服から20日後、15歳の定子は入内。ドラマではまだ幼い一条天皇だが、やがて定子と仲むつまじい夫婦関係を築いていく。この定子に仕えたのが、『枕草子』を書いた清少納言である。
まもなく幸せの絶頂ともいえる日々を送ることになる定子だが、父の道隆が死去し、伯父の藤原道兼が亡くなり、さらに兄の伊周が道長との政争に敗れることで、一気に運命は暗転していくことになる。政局に翻弄される定子の姿を、視聴者は見守ることになりそうだ。
一方で、ドラマでは藤原道兼はすっかりやさぐれている様子が放送された。花山天皇を出家させるという計画の実行役でありながら、兄の道隆よりも出世が遅れていることが気に食わないらしい。
幼い娘に「そなたも大きくなったら入内するのだぞ」と語りかけて、妻から「まだ7歳でございます」とたしなめられる場面があった。この娘は藤原尊子で、道兼の期待通りに長徳4(998)年、一条天皇に入内する。しかし、その時はすでに道兼は病死しているため、目の当たりにすることは叶わなかった。
ドラマでは、兼家が孫を天皇にするために暗躍する姿が初回からずっと描かれてきたが、自分の寿命も考えての事だったのだろう。兼家は一条天皇が元服してまもなく亡くなっており、なんとか間に合った格好となった。
道長の父である兼家、兄である道隆と道兼。彼らがどんな思いで、この世を去っていくのか。そして、道長がそれをどう見守っていくのかも注目ポイントの一つとなりそうだ。