ブームに共通する4つの要素

 日本ではデニムにしろスニーカーにしろ、風合いやデザインの細かな違いでアイテムの年代が区別されるのが一般的だ。

 本明氏はこうした価値の見出し方の根底には、茶の湯文化に見られる価値観が関係しているのではないかと主張している。一見普通の商品に大きな付加価値を持たせ、ブームを巻き起こすには、大きく分けて4つのポイントをおさえる必要があると言う。

普通の人が手に入れられない希少性を備えていること。次に、千利休のような文化人や雑誌といった魅力や価値を解説する火付け役が存在すること。そして、戦国武将や芸能人のようなトレンドリーダーが高額を払ってでも競って手に入れること。最後に、それを見せびらかすための茶会のような場所があることという4つの要素を満たすことが必要です。

 上記4点は、これまでのスニーカーブームが展開される上でも意識されていたしくみだと本明氏は考えている。

“ハイプスニーカー”ブームの背景に転売需要あり

 スニーカーの価値を見出す際に無視できないのが、転売市場の動向だ。特に2014年以降のスニーカーブームにおいては、一次流通市場と二次流通市場の関係性が大きく変化したと言われている。

二次流通でプレ値が付くことが予想されるアイテムに対しては一次流通の時点でも人気が集中し、そうでないものは一次流通でもまったく響かないという構図が出来上がっています。

 そしてこのような変化は、世間がスニーカーの購入に投資的な役割を期待したり、スニーカー本体ではなくSNSなどで自己顕示欲を満たすことが目的となっていたりする傾向も関係しているだろう。

ハイプスニーカーブームはリセール需要があったからこそ、過熱していったという側面は否定できません。