生殖行動の変化が長寿につながる可能性
繁殖は寿命を左右する大きなファクターである。かつてのヒトは、早く繁殖しないと種を保存できなくなるおそれがあるため、十数年で性的に成熟するよう進化した。
では、これからのヒトは、どう進化するだろうか。現代ではヒトがなにかに捕食されるおそれなどまったくない。出産年齢は高まっていて、日本では少子化が象徴するように、そもそも子どもを作らなくなってきている。
「現状を俯瞰(ふかん)的に見るなら、ヒトはこれまで哺乳類を捉えてきた、寿命の軛(くびき)から抜け出そうとしているのかもしれません。平均寿命が80歳というのは、すでに哺乳類の中ではかなり長寿な部類ですから」
仮にニシオンデンザメの長寿の秘密が解明され、それを応用できれば、ヒトの寿命も延ばせるのだろうか。
「老化は、成熟するまで成長した時点から始まります。それならもし成熟さえしなければ、老化せず成長し続けられるかもしれない。シリーズ第1回で早野さんが、寿命250年の世界について話されていましたが、成長を止めなければ老化しない可能性はある。もしニシオンデンザメのように、ヒトも毎年1センチずつ成長し続ければどうなるでしょうか」
寿命が250年まで延びた新たな人類像、それは身長が今の大人くらいに伸びた後も毎年1センチずつ成長し続け、身長4メートルほどに巨大化した新しい生き物となるのかもしれない。
>>第1回「人の寿命は250年に!解明進む老化の正体、あと20年で「若返り」も夢ではない」を読む