(英エコノミスト誌 2023年11月25日号)

ドバイの街は活気にあふれている

 これから数週間、中東ドバイは大にぎわいになるだろう。

 国連が毎年開催している気候変動の会議に参加しようと、世界各地から外交官や活動家、ビジネスパーソンが何万人も乗り込んでくるからだ。

 気候変動問題への対処がさらに進展することを望み、利害が全く異なる国々や産業を説き伏せるアラブ首長国連邦(UAE)のスキルがフルに発揮されることになる。

 だが、UAEに注目すべき理由はそれだけではない。この国は、世界が多極化しているこの時代に繁栄する方法も示してくれている。

「中東のシンガポール」

 世界の人口に占めるUAEの割合は0.1%を少し上回る程度で、国内総生産(GDP)のシェアも0.5%にとどまるが、世界の石油埋蔵量の10%近くを擁しており、その富が格上の国々と張り合うことに役立っている。

 今日の多くの新興国と同様に、UAEは政治・経済の分断をまたぐ外交を展開している。

 国民の政治参加を認めない独裁国家である一方、経済は世界最高レベルの開放度を誇る。

 米国の親密な同盟国でありながら、最大の貿易相手国は中国だ。

 国民1人当たりGDPは英国やフランスをしのぐものの、グローバルサウスの一員と見なされることが多く、インドやアフリカの企業のハブにもなっており、さながら中東のシンガポールのような立ち位置を確保している。

 2020年には、ペルシャ湾岸諸国として最初にイスラエルとの外交関係を正常化した国の一つにもなっている。