名品は時間を掛け積み重ねられた伝統の力が生み出すもの。そして物作りの情熱は、やがて過去の名品さえも進化させていく。ロングセラーとヘリテージをつむぎながら誕生したニューデザイン。その二つを知ることで、ブランドの持つ本質と革新性が見えてくる。
写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川 剛(TRS) 編集/名知正登
創業230余年の歴史を誇るニット界の古豪
英国的なニットウェアの伝統と、着心地の良さへの探求心を持つブランドとして知られるジョン スメドレー。創業は古く、1784年にイングランドのダービーシャー州において、ジョン・スメドレーとそのビジネスパートナーが興した紡績及び生地製造会社がブランドの礎だ。現在に至るまで自社工場による一貫生産を堅持しており、時代の変化にとらわれず常に均一かつ高品質なアイテムを打ち出している。その真摯で地道な企業努力により、多くの著名小売店やセレクトショップからも強く支持されているという。
英国らしいタイムレスかつ合理的にして気品あふれるニットウェアは、今や世界トップクラスであり、その証として栄誉ある2つのロイヤルワラント(英国王室ご用達認証)が付与されている。シルクのごときなめらかな細編みであるファインゲージニットなど、伝統技によるニット製品に加え、昨今では地球環境に配慮した物作りも特徴のひとつ。一部商品には“GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)”に準拠したエコ素材によるアイテムもラインナップ。まさに古くて新しい温故知新を地で行くニットブランド。それがジョン スメドレーだ。