(英エコノミスト誌 2023年7月8日号)
テクノロジーによって戦場が様変わりした。民主主義国も対応しなければならない。
大きな戦争は、それを戦う国とその国民にとって悲劇だ。
また、世界が紛争に備えるやり方を一変させ、世界の安全保障にも重大な影響を及ぼす。
米国の南北戦争の際、英国とフランスとドイツは戦地にオブザーバーを派遣し、ゲティスバーグなどでの戦いを研究させた。
1973年の第4次中東戦争における戦車戦を見た米国は、ベトナムで敗れた軍隊から1991年の湾岸戦争でイラクを打ち負かした軍隊への変身を加速させた。
そしてその湾岸戦争をきっかけに、中国の指導者たちは人民解放軍の再建に乗り出し、今日あるような恐るべき軍隊に変えた。
戦闘の理解を変えるウクライナ戦争
ウクライナでの戦争は、欧州では1945年以来の大規模な戦争だ。
今後数十年間にわたって、戦闘というものの理解に大きな影響を及ぼすことになる。
現代の紛争は対ゲリラ活動の作戦に限られるのではないかとか、犠牲者のあまり出ないサイバー空間での戦いへと進化するのではないかといった幻想は、今回の戦争で吹き飛んだ。
むしろ今日では最新のテクノロジーと大量殺戮、そして大量の弾丸消費がセットになり、一般市民や同盟国、民間企業まで巻き込んだ新種の高強度戦争が展開されている。
となれば、将来戦われる紛争で優位に立つ方法を独裁政権が研究していることは、ほぼ間違いない。
リベラルな民主主義国はこのような死と破壊にひるむのではなく、工業化の進んだ国同士でも戦争は十分に起こりうるのだと認識し、それに備え始めなければならない。
本誌エコノミストが今週号の特集記事で論じているように、ウクライナの大量殺戮の現場からは3つの大きな教訓が読み取れる。