年が明けて、今、米欧から大量の戦車・歩兵戦闘車などがウクライナに供与されようとしている。
第1次世界大戦以降、戦場の主役は戦車だと言われてきた。
その後、第4次中東戦争(1973年)で対戦車ミサイルの威力が証明され、一時期、戦場の主役から「戦車不要論」が言われるようになった。
さらに対戦車ミサイルを搭載した攻撃ヘリ(対戦車ヘリ)が、地上戦では「戦車キラー」の一つであり最強であった。
こういうことから、米軍は攻撃ヘリ「AH-1コブラ」「AH-64アパッチ」を多数保有し、日本の陸上自衛隊も同様の機種を保有しているほどだ。
自衛隊の戦術教育や図上戦術の際に用いる「相対戦力比較」では、攻撃ヘリ1機は戦車7両に匹敵するとして計算していた。
筆者が陸自指揮幕僚課程(CGS)学生や幹部高級課程(AGS)の戦略教官であった時も、その見方は変わってはいなかった。
しかし、露軍のウクライナでのこれまでの戦いでは、その攻撃ヘリの活躍は、侵攻初期を除いてほとんどない。
露軍は、「戦車キラー」と呼ばれる攻撃ヘリを約400機保有していた。侵攻当初に約30%が撃墜されたが、まだ大量に残っている。
これまでの戦いでは、「戦車キラー」として活躍していないのだ。
今後、米欧の戦車等と露軍の攻撃ヘリの戦いは、どのようになるのかについて考察する。