(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
今回の総選挙で勝利をおさめて新施政を始める岸田政権に、同盟国の米国はなにを期待するのだろうか。
日米関係に詳しいワシントンの識者たちに尋ねると、予想どおり日本の安全保障政策についての疑問や要望が最も多かった。中国や北朝鮮の明白な軍事脅威に直面する日本が従来の消極的な防衛政策を強く前向きに改めることへの要請が、米国では明らかに広範なのだ。
「核兵器全廃」と“現実”をどう整合させるのか?
レーガン政権の商務長官特別顧問として日米関係に関わり、その後も米側の対日政策の形成に長年、関与してきたワシントンのシンクタンク、経済戦略研究所(ESI)のクライド・プレストウィッツ所長は、岸田政権の中国への安全保障政策について次のように疑問を呈する。
「岸田氏の『中国との関係の安定を求める』とはなにか。米国の懸念する中国の軍事攻勢に日本は具体的にどう対処するのか」