*写真はイメージ

 コロナの影響で在宅ワークやオンラインでの営業が当たり前になるなど、私たちのライフスタイルは大きく変わった。効率化はよいのだが、それに伴う運動不足はいただけない。今まで平気で歩いていた距離で息切れしたり、階段の上り下りが辛かったりと、体力の低下や体のこわばりを実感する人が多いのではないだろうか。

 歩くことが減り座る時間が長くなると、下半身の大きな筋肉が硬くなったり弱くなっていることが多い。そこで、椅子やテーブルを使って普段の生活の中でさりげなくできる下半身のストレッチをヨガ講師の志野さんに解説してもらった。

簡単ストレッチ、5つの注意点

 ストレッチを行う際には、次の5点に注意してもらいたい。

1.ポーズの完成形にこだわらない
2.ターゲットになる部分に気持ちいい伸びを感じる
3.痛みを感じたらすぐやめる
4.勢いをつけない
5.呼吸を止めない

 早く効果を出そうとして無理をしたり、痛みをがまんしたりしながら行うと、かえって怪我のもとになってしまう。「自分の気持ちよさ」を一番の基準として、日常生活の合間に1分ほどのストレッチをこまめに行おう。

 また、無理をしていないのにピンポイントで痛みが出たり、息が止まるほどの痛みを感じた時には、思わぬ疾患や損傷が隠れている可能性があるので、専門医の受診をお勧めする。

大臀筋・中臀筋をほぐす! 椅子を使ってお尻を伸ばすストレッチ

 お尻から太ももに繋がる大臀筋・中臀筋が硬くなっていると、下半身全体の血流が悪くなり冷えを感じたり、股関節の動きが悪くなって歩く・走るといった動作がスムーズに行えなくなったりしてしまう。以前と同じように動作をしたつもりが、思わぬ怪我につながる可能性があるのだ。

 伸びを感じたいのは、青で囲んだ部分。

写真1:ストレッチしたいのはお尻の筋肉(撮影:URARA)

 まず足が地面にしっかり着くように椅子に座って背筋を伸ばす。次に片足を膝の上に乗せて「4の字」になるように組む。上に乗せた足首は直角に、手は足を押さえつけるのではなく、軽く膝と足首に添える。

写真2:足の組み方。上になる足首は直角に(撮影:URARA)

 そのまま足の付け根から骨盤を前に倒していく。この時、ウエストから倒れるとお尻の筋肉が伸びないので気を付けよう。

写真3:背中が丸まると大臀筋・中臀筋はあまり伸びてくれない(撮影:URARA)

 背もたれのある椅子では浅めに腰掛ける。キャスターが付いている場合は動かないように座面を低めにして、足をしっかり踏ん張る。志野さんが手を当てている腰の部分が丸まらないように、そのまま上体を前に倒していき、お尻の筋肉の伸びが実感できたところでキープし、ゆっくり呼吸を3回してみよう。呼吸は鼻から吸って吐く鼻呼吸がおすすめだ。

写真4:まっすぐにする場所を意識するだけで、伸びの効率はアップする(撮影:URARA)

 このストレッチでお尻がほぐれると、座っている時の姿勢をキープしやすくなり、歩くときも股関節の動きがスムーズになる。下半身全体の血流がよくなるので、冷えやむくみの軽減、さらにヒップアップ効果も期待できるのだ。

 ただし、股関節や膝に疾患がある人、坐骨神経痛がある人は注意してもらいたい。痛みやしびれを感じたら、無理に伸ばしたりキープしないように、「気持ちいい」と感じるところでストップしてほしい。