中堅・中小企業こそ
チャンス、
イノベーションを起こす
ことができる企業に
なるために必要な準備

中堅・中小企業にとって飛躍の
鍵となる「イノベーション」

 革新的な技術やビジネスアイデアによって、企業に目覚ましい発展をもたらす「イノベーション」。これまでも数多くの企業が、イノベーションを契機に急速な成長を遂げてきました。例えばGoogle、Apple、Facebook、Amazonのいわゆる「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業たちも、もともとは小さな新興IT企業に過ぎませんでした。しかし、イノベーションによってかつてないほど革新的な製品やサービスを編み出し、いち早く市場に投入できたからこそ、現在の興隆があります。

 ITの分野では残念ながらGAFAの後塵を拝している日本企業ですが、自動車や家電といったもの作りの分野では、かつてはイノベーションを武器に高機能・高品質な製品を次々と生み出し、世界市場を席捲しました。これらの企業は今日では、日本を代表する大手メーカー企業へと飛躍的な成長を遂げています。

 こう聞くと、イノベーションは高度な技術や優れた人材を多く保有する大企業にしか起こせないと思われがちですが、GAFAにせよ国内大手メーカーにせよ、かつては一介の中堅企業に過ぎませんでした。それがイノベーションによって急速な成長を遂げ、やがては市場を席捲するまでに至ったのです。つまり、中堅・中小企業にこそイノベーションを起こすチャンスがあると言えます。

 イノベーションとは、従来の常識を覆すほど革新的な製品やサービスを生み出すための取り組みです。逆に言えば、既に市場で一定のシェアを占めている大企業にとっては、イノベーションを起こすことによって、自社の既存シェアを失うリスクもあるのです。従って企業規模が大きいほど、あるいは既存シェアや既得権益が大きいほど、イノベーションは起きにくくなります。

 これは俗に「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる現象ですが、一方でまだ市場で存在感が薄い中堅・中小規模は、イノベーションによって失うものは何もありません。自社が持てる力を全力でイノベーションに振り向けられるため、むしろ大企業よりイノベーションを起こしやすいのです。

イノベーションの原資を
ねん出するために投資戦略の
見直しを

 ただし、イノベーションは天から降ってくるものではありません。従来の延長線上で粛々と企業活動を行っているだけでは、革新的な発想はいつまで経っても得られません。やはり、革新的な製品・サービスを生み出すための企画や研究開発に積極的に投資し、これまでにない新たな分野へ自ら乗り出していく必要があります。

 場合によっては新たな人材を獲得したり、技術力を持つ企業をM&Aによって獲得する方法も考えられます。また製品やサービスが出来上がった後も、それを宣伝して新たに市場を開拓する取り組みなどが求められます。このように、イノベーションを起こすためにはそれ相応の準備が必要であり、先行投資がどうしても欠かせないのです。

 しかし現在、売上や収益が伸び悩んでいる企業は、先行投資のためのリソースがなかなか捻出できず、結果的にイノベーションを生み出すための下地作りにすらなかなか着手できないという現状があります。従ってイノベーションを起こすためには、まずは先行投資のための経営資源を捻出できるよう、企業体質を抜本的に改革するところから始める必要があるのです。

 まずは、現在の企業活動の中に人・モノ・金の無駄がないか、あらためて洗い出す必要があるでしょう。「投資対効果が芳しくない事業はないか」「現在行っている業務プロセスの中に無駄はないか」、こういった観点で既存の事業を棚卸しして、省ける無駄を一つひとつ取り除いていきます。無駄が多い業務を改善したり、思い切って廃止することで、それまでそこに費やしてきた人手や資金を、イノベーションを生み出すための活動に割り振れるようになります。

 場合によっては、採算が取れる見込みのない事業から思い切って撤退したり、他社に譲渡する決断を下す局面もあるかもしれません。既存の事業に投資し続けるのか、それとも新たな領域でのイノベーションに賭けてみるのか。両者のリスクとリターンを見極める高度な経営判断が求められますが、こうしたメリハリのある投資戦略があってこそ、イノベーションへの道も拓けると言えます。

イノベーション実現への第一歩は
「アナリティクスによる経営の
可視化」から

 ただし不振な事業を適切に見極めるのは、そう簡単なことではありません。不振事業を担当している現場では、当然のことながら事業がうまくいっていないことは重々承知していますが、そうした実状が必ずしも経営層にまで正確に伝わるとは限りません。現場から経営へと情報が上がる過程で、意図的に情報が操作・隠蔽される可能性もあります。

 業務システムからデータを直接引っ張ってくるにしても、データの鮮度や粒度が不十分であれば、やはり不振事業の見極めには役立ちません。ほとんどの企業では半期ごと、四半期ごと、場合によって月ごとに財務会計ベースの経営報告レポートが経営層に提出され、その内容を基に経営戦略の検討が行われます。しかし財務会計ベースの情報では、すべての事業活動をひっくるめたパフォーマンスは参照できても、「事業ごと」「部署ごと」「製品ごと」といったように、さまざまな切り口からパフォーマンスを分析・評価することはできません。これでは現在どの事業が不振に陥っているのかが見えず、結果としてどの領域の投資を減らして、その分をイノベーション活動に回すべきかも判断できません。

 そこで求められてくるのが、「アナリティクス経営」の取り組みです。社内に蓄えられたさまざまなデータを1カ所に集めて高度な集計・分析処理を施すことで、自社の経営状態を可視化し、多角的に分析できるようにします。こうした仕組みを用いて、「データに基づいた経営」を行うのがアナリティクス経営の手法です。

 これを可能にするには、経営に関するさまざまなデータが複数のシステム上にばらばらに散在しているより、単一のシステム上でまとめて管理されている方がはるかに有利です。アナリティクス経営実現のためにERPを導入する企業が多いのは、このためです。

 このように、イノベーションを実現するためには、まずは自社の経営をきちんと可視化するところから始める必要があります。イノベーションは、決して一朝一夕では実現できません。企画や研究開発の活動を一定期間継続できるための「経営体質の強化」が必要になってきます。アナリティクスによる経営の可視化は、そのための第一歩と言えるでしょう。

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