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一人だけ・一分野だけでは
不可能な気候変動対策を
科学的知見とつなぐ力で可能に

 夏の気温が史上最高と言われ、山火事や洪水のような災害が相次ぎ、今や誰もが気候変動を実感するようになった。気候変動そのもの、そしてその影響にどのように対応していくべきなのか。国や自治体、企業の取り組みを、みずほリサーチ&テクノロジーズのコンサルタントが支えている。

01 気候変動に立ち向かうため、
「適応」というアプローチで挑む

 気候変動対策には2つのアプローチがある。まずは「緩和」だ。二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出量を削減するため、節電が求められ、再生可能エネルギーの活用やEVの導入が進められてきた。こうした対策が緩和策と呼ばれる。

「緩和は気候変動の原因をなんとかしようというもので、身近なところで多くの取り組みが進められている実感を皆さんはお持ちではないでしょうか。それに対して今私が主に関わっているのが適応で、気候変動の結果として現れる影響を回避・軽減しようというものです。適応の認知は少しずつ進み、現在、気候変動対策は緩和と適応の両輪で進めるという意識が高まってきています」

 そう話すのは、サステナビリティコンサルティング第1部に所属する大澤慎吾氏だ。これまでに、環境省や国立環境研究所の事業で適応を推進するため、気候変動影響および適応策の調査・分析、情報基盤の整備や適応アクションプラン策定等の支援に関わってきた。まさに大澤氏が語る「適応」が二つ目のアプローチだ。

サステナビリティコンサルティング第1部 地球環境チーム
上席主任コンサルタント 大澤 慎吾氏
出典:「気候変動適応情報プラットフォームポータルサイト
(国立環境研究所)2023年10月2日利用

「ひとことで言えば、気候変動のトレンドをおさえ、科学的知見をわかりやすく伝え、具体的な適応策の実装を支援するという仕事です。国や研究機関、自治体、企業が主体となって進めている中で、それぞれの業務を通じて一緒に作り上げていくイメージです。環境省の業務支援であれば、環境省が持つのと同じ使命感を持って取り組んでいるつもりです」

「環境省 気候変動影響評価・適応推進事業の成果物」の一例(2022年実施)
出典:「気候変動適応における広域アクションプラン策定事業 事業成果」(環境省)をもとに、みずほリサーチ&テクノロジーズ作成

02 分野と組織をまたぎ
国全体の行動変容につなげる

 国で方針が決まれば、それは自治体の方針、そして企業の方針へとつながっていく。自治体での適応策の検討と実施の支援も大澤氏の重要な仕事だ。

「たとえば、気候変動の専門家がどのようなことを言っているのかを、自治体や企業の方々にわかりやすく伝えるというのも私たちの大切な仕事です。たとえ専門家同士であっても、隣の分野の話はわからないということがあるくらい、専門的な話は難しいものです」

 組織の橋渡しも欠かせない。

 現在、国は農林水産業、水環境・水資源、自然生態系、自然災害・沿岸域、健康、産業・経済活動そして国民生活・都市生活の計7つの分野で適応を進めようとしている。自治体でも、それぞれを担当する部局ごとにやはり「適応」への取り組みを始めようとしている。

 この7分野の存在が、「適応」と「緩和」は異なる特徴があることを示している。

「緩和の場合は、『二酸化炭素等の温室効果ガス排出量を削減しよう』というような、分野横断的な目標を立てやすいものです。しかし、適応の場合は具体的な対策と回避・軽減したい影響が分野によって異なるので、目標も異なります」

 こうした状況で大澤氏が橋渡しとその先にある連携を重視するのは「一つの分野だけでの取り組みでは、限界があるからです」という。

「たとえば、農林水産業の中でも農業分野は、昔から適応が進んでいた分野です。日本で昔から作られている水稲は、気候変動対策の必要性が叫ばれる前から、その土地の気候に適した栽培技術や品種の改良が重ねられてきました。適応をしてきているのです。では、品種改良だけをしていけば農業分野での適応ができるのかというとそうではありません。干ばつや大雨などによる水資源の変化に対応しつつ、暑い中で農作業をする人たちが熱中症にならないように、健康面での適応もしていかなくてはなりません」

 より効果的な「適応」には、国や自治体と企業との間の連携も欠かせない。

「これは緩和についても同じことが言えるのですが、どれだけ国や自治体が目標を立てても、そこで暮らす住民の行動が変容しないと、目標は達成されません。住民というのは企業から見ると消費者です。ですから、その住民・消費者の行動変容を促すには、自治体と企業が一緒になっての取り組みが必要です。ペットボトルのリサイクル・リデュースなどは、両者によって行動変容を起こしつつあるいい例だと思いますが、同じようなことをしていく必要があると思っています」

 国の適応プロジェクトは3年程度のサイクルで進められることが多く、今年は新規事業の1年目にあたるため、事業の立ち上げに伴う必要な情報の収集や整理等、インプットの毎日。関連するレポートや研究論文を読んだり企業の先進事例を調査したりして、血肉を蓄えている。

03 組織であれば
一人ではできないこともできる

 大澤氏は今の仕事をしたくて、みずほリサーチ&テクノロジーズに入社してきた。転職前は民間気象情報会社で働いており、気象予報士の資格も取得している。

「10代の頃、iモード(携帯電話でのインターネットサービス)で天気予報が見られるようになりました。天気予報ってサービスになるんだなと思ったのです。子供の頃から、天気に左右されながら農業をしている祖父母の姿を見たり、自分自身がサッカーをしていて突然の雨に降られてびしょ濡れになったりするたびに、事前に正確に天気が分かれば沢山の人が助かるのにと関心を持っていた気象とビジネスが、そのとき結びついたのです」

 入社後はまさに気象をビジネス化し、サービス開発や運営、営業まで一通りの経験をして、次は何をしようかと考えたとき、関心が気象から気候へと向いたという。入社から12年が経過していた。

「天気予報の精度向上により助かった人もいるでしょう。ただ、気候への長期的な取り組みのほうが、より多くの人の命を救えるのではないか、より役立つことができるのではないか、そう思いました。前の職場だけでなく、どこでなら自分の志をもっと活かすことできるのかと探したときに、みずほリサーチ&テクノロジーズが、気候変動対策の本丸である環境省事業を支援していることを知りました」

 調べた限りでは、環境省の気候変動対策に関わる案件で最も実績のある民間企業がみずほリサーチ&テクノロジーズであったという。転職先に迷いはなかった。より多くの人の行動変容につながる、したい仕事ができる会社、それが大澤氏にとってみずほリサーチ&テクノロジーズだったのだ。

「せっかくなら、気候変動対策の根幹をなす仕事に携わりたいじゃないですか」

 転職して5年目になるが、職場にはすっかり馴染んでいる。

「私にはこの職場が合っていると思います。転職してきたからかもしれませんが、周りから与えられた仕事をするというよりは、自分で仕事を作って目標を立てて達成し、チームにフィードバックするという働き方ができているからです」

 大澤氏は自分の中にアントレプレナーシップがあると感じている。前職時代には起業を考えたこともある。それでも会社という組織で働くのは「一人でできることには限界があるから」という。

「やりたいことを実現するには同じ志を持った仲間がいたほうがいいし、結果的に自分の周りの人だけでなく、多くの人のために役立てます。仕事のやりがいとは、そういうことだと思います。気候変動による被害を目の当たりにしている以上、それを少しでもなんとかしたいという自分に正直に生きたいですし、そこを蔑ろにするようであれば、自分に罪悪感を覚えます」

 かつては気象をビジネスの対象とし、今は気候に向き合っている大澤氏にとって、気象と気候の違いとは「考えるべき現象の時間レンジも違いますが、一番違うのは、気候の変化は文化を作っているところだと思います。日本の気候が異なっていたら、今の日本の文化は生まれていなかったでしょう」

 この仕事で今後したいことのひとつに、金融グループであることの特性を活かし、「適応」に取り組む自治体や企業に対して〈みずほ〉が一体となって支援を行うことへの展開がある。

「自治体や企業が大きな社会課題を解決するには相応の資金が必要です。では、そうした資金を用意できるのはどのような組織かというと、金融機関です。ですから、それぞれが進めている取り組みとみずほグループ内にある金融ソリューションとを結びつけていきたいです」

 そのための課題は、定量的な提案だという。

「企業向けに脱炭素化に関わるコンサルティングを行っている社内他部署と一緒に、企業に対して適応策の提案を積極的に進めていきたいです。定量的な分析をしたうえでの提案が求められますが、まだまだ精緻でないものや定性的なものが多いです。そこを『金額的にこれだけの影響を減らせます、または効果があります』というような提案に変えていきたいです」

定量的な提案は、効果的な取り組みと成果につながる。気候変動に立ち向かうコンサルタントには、まだまだやるべきことがある。

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Interview