半導体のニーズに
EBARAの技術と総合力で応える
精密・電子事業カンパニー 装置事業のトップが描く「世界一」

TEAM: Equipment Division,
Precision Machinery Company
Isao Nambu
Sponsored by 荏原製作所

 高度情報化社会の発展を支える、スマートフォンや電気自動車など、ありとあらゆる電子デバイスに欠かせない半導体。荏原製作所は半導体製造装置や半導体の製造環境に欠かせない真空をつくり出すドライ真空ポンプなど、半導体製造機器でこの分野を支えている。精密・電子事業の装置事業部は「CMP(化学機械研磨)装置」に代表される製造装置を製造している。昨今の半導体ニーズや、技術向上ニーズを背景に勢いづく装置事業部を牽引する南部勇雄氏は、半導体装置のシェアで「世界一をめざす」と明言する。

胸を張って
「グローバル企業」と言いたい

「1番になる。日本国内ではなく、世界で。それが大事なことだと私は考えています」

 荏原製作所執行役で精密・電子事業カンパニー装置事業部長の南部勇雄氏は、同社が手がける半導体製造装置での「シェア世界一」を、実現できる目標として抱いている。

「世界各地に拠点があるという点では荏原はグローバルに事業をしている。けれども、本当にグローバル企業として胸を張って、あらゆる国のお客さまに、荏原グループの社員が一体となって世界をより良くするソリューションを提供できているかというと、道半ばという実感なんですよ。真にグローバルになるには、世界で1番を達成しなければなりません」

荏原製作所 執行役 精密・電子事業カンパニー 装置事業部長
南部勇雄氏

東京23区を1ミリの精度で
平坦にする高い技術

 荏原製作所の精密・電子事業カンパニーは、半導体製造装置を世界に提供している。南部氏が、精密・電子事業で「世界一」を目指しているのが、「CMP装置」とよばれる半導体のウエハを研磨する製造装置だ。2022年7月の時点での荏原の世界シェアは、米国企業に次ぎ2位となっている。

「かつて半導体ウエハ製造にCMP装置は不要でした。ウエハの構造が微細になり、表面をより高精度に平らにしたいというニーズが生じ、CMP装置が出てきたのです」

 半導体ウエハをつくるときは、材料基板を洗う、膜をつける、感光材を塗る、光を当てる、現像する、要らない部分を取り除く、そして感光材を剥がすといったプロセスを極めて清浄度の高い環境で繰り返していく。初期の半導体はこの工程で成り立っていたが、半導体の微細化が進むにつれ、歩留まりを向上させるためには、膜を平坦にしなければならないことがわかった。本来は清浄度を優先する半導体製造の常識ではこの工程は考えられなかったことだが、異物(=砥液)を積極的に半導体デバイスに擦り付けて研磨するCMPというプロセスが誕生した。プロセスでは、パッドとよばれる研磨布に、研磨ヘッドとよばれるモジュールが半導体ウエハを保持し、圧力制御をしながら押し付け、パッドもヘッドも回しながらウエハ表面を平らに磨いていく。

 荏原製作所がCMP装置を世に出したのは、1986年に半導体事業で初の製品を出してから6年後の1992年。顧客の期待の声を受けてのものだった。「社会的に半導体のニーズが高まるなか、荏原は培ってきたポンプ技術を生かす形でまず真空ポンプの事業を手がけてきました。信頼を得ていくなかで、お客さまから『製造装置もやってみたらいいのでは』とお声がけいただき、いくつか挑戦する中でCMP装置の事業が始まったのです。改善・革新の期待が込められていたのだと思います。創業の精神である『熱と誠』にあふれた先輩達の尽力や、世界最高技術を誇る半導体メーカーのお客さまのご指導などもありました」

 その後、荏原の技術などが生かされる形で、CMP装置の性能は高まっていく。たとえば、半導体ウエハを均一に研磨する技術。「半導体ウエハの研磨対象エリアを分割しそれぞれの領域を空気の圧力でウエハが全面において均一に研磨されるよう、エリアごとに圧力をリアルタイムで変えて調整しています。磨きながらウエハを制御しているわけです」と南部氏は言う。この技術は、平らに磨く精度の高さに反映される。300ミリ径のウエハの面積がもし仮に東京23区の広さだとすると、高さ1ミリのレベルで平坦にすることができるほどの精度にまで極まっている。

2021年12月発表のCMP装置「F-REX300XA型」

 CMP装置は、これからの半導体で必須になると目される「積層化」にも役立つ。「半導体ウエハが使われるデバイスとして、NAND型フラッシュメモリがありますが、1枚のウエハでの積層による高集積化は限界に達しつつあります。そこで、ウエハとウエハを貼り合わせて高集積化するニーズが生じています。ここでもCMP装置によるウエハの平坦化が必要になってくるわけです」

米国で鍛えられ、
帰国後マーケティングを強化

 荏原製作所の各事業のなかで精密・電子事業はいま最も勢いがあるといえる。南部氏は1997年に入社し、精密・電子の事業分野を歩んできた。この2022年1月、精密・電子事業カンパニー装置事業部長に就き、さらに3月に執行役に就任した。

「学生時代、環境問題が世の中の話題になっていて、私も大事な課題と思っていました。就職活動のとき、荏原製作所という企業があり、メーカーとして環境問題へのソリューション提供に取り組んでいると知りました。いろいろな企業が環境に取り組んでいますと謳っているなか、私としては手を動かして製品や技術を生み出し貢献できる、ものづくりの企業で働くのがいいなと思ったんです」

 25歳のとき、米国での営業力強化のため現地に派遣され、9年間、異国の地で経験を積んだ。「お客さまに納入した装置の不具合から、稼働状況を日々確かめなければならなくなりました。クリスマスの日、生産ラインに電話しても誰も出てくれず、クリーンルームまで自分で入って行ってお客さまの経営層に報告をしたこともありました」と語る。

 駐在当初は、現地の営業担当に付いて顧客と日本の本社とのコミュニケーションをまとめるリエゾンの役割が主だった。渡米して5年、顧客と直接交渉をするローカルセールスの役割も担うようになった。「お客さまからの質問への回答や、こちらからの指摘など、自ら矢面に立ち英語でやり取りしなければならない。気持ちが引き締まりましたし、情報収集や説明準備もより入念になりました」

 現地で顧客とのコミュニケーションを重ねていくなかで、「荏原がさらに成長するためには、お客さまが必要なことや喜ぶであろうことを先読みし、もっと製品やサービスに魅力や付加価値をもたせなければならない」と気づいた。この課題意識から帰国後、精密・電子事業カンパニーのマーケーティング組織を立ち上げた。「製品マーケティングにさらに力を入れることが、荏原の事業を伸ばすことにつながると思い、自ら提案しました」と南部氏。その後、2019年には、同じく精密・電子事業カンパニーの経営企画部門を発足。そして2020年には、コーポレート部門のマーケティング統括部を発足させ、マーケティング統括部長として荏原グループ全体のマーケーティングを横軸で連携させる組織づくりを牽引した。

 2022年、荏原の精密・電子事業部に再び戻り、装置事業部長に就任。その後、さらに執行役となり、次世代経営トップの一人として事業をリードする。「振り返ると、いつも何かしら新しい取り組みを立ち上げていた気がします。進んでいく方向を決め、ここを目指すんだとみんなを引っ張っていくのは、どの時代もそうでした」

新たな荏原の
コアバリューを創造したい

 南部氏は、荏原製作所における半導体事業の位置づけを次のように話す。

「荏原製作所は、時代の変遷とともに、その時代に必要とされ、かつ実現可能な技術に焦点をあて、それを事業化してきました。創業時のポンプに始まり、冷凍機、コンプレッサやタービン、その後、日本の経済成長に伴う環境問題の台頭とともにごみ焼却や水処理、そして半導体の発展とともに真空ポンプなどの半導体製造機器、CMP装置などの半導体製造装置を手掛けて事業を発展させてきました。このように多角化された当社の事業ポートフォリオにおいて、装置事業部は一番新しい事業であり、一番利益率の高い事業です。装置事業で得ている経験やノウハウ、事業の進め方は、必ず当社の他の事業分野でも成長のヒントになると考えています。当社の中でも装置事業の存在感を高めていきたいと考えています」

 さらに南部氏は続ける。

「この目標には、もう1つの大事な意図があります。それは、新たな荏原のコアバリューの創造です。ポンプや環境事業など、建築・インフラ・エネルギー系の事業を中心に進んできた当社では、どうしてもそういった事業軸と半導体を、別々に扱う雰囲気が自然に醸成されてきました。しかし、実際に事業の中身を分解していけば、共有することで互いの経験や得意分野から学べることは実は多いのです。こういった複数の事業を抱え、さまざまな視点を持つことで、提案できるソリューションも生まれてきます。世界広しといえども、風水力機械、環境装置、半導体製造機器・装置を手掛ける企業は他になく、われわれだからこそ生み出せるユニークバリューがある。とかく半導体だからとわが道を突っ走りがちなところを、経営としてしっかりとマッシュアップし、荏原グループとしての総合力を発揮していくことで、新しい“荏原バリュー”を形づくっていけるのではないかと思っています」

 コアバリューを創造し、CMP装置で世界シェア2位という位置に満足せずに「世界一」を目指す。それは日本企業を盛り上げることにもつながると南部氏は見ている。

「荏原もですが、技術はあって、世界でそこそこのポジションという日本企業は多くあります。そうした企業にとって、荏原が世界一になることがキー・マイルストーンになると思っています。荏原が世界一になれたんだから、うちもできるんじゃないか。そう思ってもらえるような存在になることを、私たちは目指しています」

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