今回も一芸を持った人物を取りあげる。絵師として有名な百済河成(くだらのかわなり)である。『日本文徳天皇実録』巻五の仁寿三年(八五三) 八月壬午条(二十四日) は、次のような卒伝を載せている。画技でもって正史に特筆されたのは、この河成がはじめてである。 百済氏は百済国第二十八代国王である恵(けい)王(有名な聖[せい]王〈聖明[せいめい]王〉)の後裔を称するが、史実のほどは不明である。というより、渡来系氏族のこの手の系譜は、ほとんどが詐称である(義慈王の末裔である百済王氏は例外)。 本姓が余氏というのも、百済王と同じ姓を称したものであろうが、この時代になると、かつて朝鮮半島に存在した倭国の同盟国で